今回は、特許事務所で、特許出願から権利化までを担当する化学系の特許技術者による体験談をシェアします。
_________________________________

《知財へのきっかけ》
私は、高校時代に「弁理士」という資格の存在を家族から聞いたことがきっかけで知財業界を目指しました。
うろ覚えですが、当時「弁理士になろう」という風なタイトルだった本を読み、何だか自分に合っていそう!と思いました。文系と理系の中間に位置するような自分の特性が適合すると思うとともに、女性も男性と同様に活躍できる職種であることに惹かれました。

実際には、弁理士を目指したときから10年近く後にこの業界に入ったのですが、やっぱり「文系と理系の中間」的な私にはピッタリの仕事内容と感じました。技術内容の理解に「理系」的なセンス、書類作成について「文系」的なセンスが求められる仕事と思っています。

《仕事内容》
特許事務所で、特許出願から権利化までを担当していました。経験年数は、休職中の期間を除くと8年弱ほどです。
具体的には、出願書類の作成、中間対応等がメインの仕事でした。日本企業の出願(国内出願、外国への出願)がメインでしたが、外国企業の出願(外国から日本への出願)もたまに扱いました。
小規模事務所で、経営層と直接コミュニケーションが取れる環境だったため、仕事の進めやすい環境でした。

勤務し始めた頃に感じたのは、「職場がすごく静か」で、「ひたすらパソコンに向かっていて動く機会が少ない」ことです。この点、おしゃべりが好きな方や、運動が好きな方には、辛い環境かもしれません・・・。私は幸い、1人の時間も楽しめるタイプで、文化系でしたので、そのギャップには比較的早く馴染んだと思います。
他方、チームプレーが少なく、個人プレーで進む仕事がほとんどですので、比較的スケジュール管理がしやすく、自分の時間を確保しやすいといえます。

この仕事は、法律知識、技術の理解、書類作成力、論理力、文章力と、求められる能力が数多いと思います。
業界内には優秀な方が多いのですが、それに対し凡人の私は、求められる仕事の質と速さに苦戦する日々です。この点は、運よく職場環境に恵まれたため、何とか許してもらい、乗り切れたのかな・・・という気がします。もしノルマが重視される事務所だったとすると、非常に厳しかったように思います。

事務所の特許技術者に求められる大事な作業として、「考えること」と「判断すること」があるな、と思います。
特に、「考えること」は時にとても難しく、波のある作業だなと実感しています。なかなか打開策が思い浮かばず、うーーん、うーーんとうなっている間はとてもしんどく、時にふとアイディアが出て、意見書を書き進めていると、何だかハイになっている瞬間があったり。未熟な私には、苦しく悩ましい時間が多いです。
他方、悩んだ結果、提出した意見書により特許査定が出るなど、たまに嬉しい結果が出ることがあるので何とかトータルでモチベーションが保てるのかな、と思っています。

《弁理士》
上記の通り、私にとって「弁理士」は憧れの資格でした。弁理士試験の受験時代は、新婚生活を捨て、友人の誘いを泣く泣く断り、一心不乱の日々でした。すなわち、弁理士になることは、私にとってのゴールと言えました。

ところが、実際に弁理士になってみると、「弁理士になった後に学ぶべきこと」の多さに愕然としました。この仕事において弁理士は、ゴールではなくスタートだったという!(気がつくのが遅い・・・。)
いつまでもいつまでも勉強が続く、という意味で、辛い、辞めたい・・・と思うことも多いのですが、勉強を通じて出会える仲間は素晴らしく、そこはいいなー、と思いながら苦しみ続けている日々です。(まだまだ、胸を張って「弁理士です」とは言い切れない私です。)

《知財職と女性》
ここで、IP Womanは女性の集まる場ですので、「女性」の目線から特許事務所の仕事を考えてみたいと思います。
※ひと口に女性といっても、様々なタイプの女性がおられますが、ここでは「一般的に」女性が得意なこと、と思われる内容を目線に考えてみます。女性が得意なこと、については、以前に私が読んだ下記の本(男女の脳の違いに関する)等の記憶から思い出しながら書いております。
・「キレる女懲りない男」(黒川伊保子著、ちくま新書)
・「話を聞かない男、地図が読めない女」(アランピーズら著、主婦の友社)

女性は一般に「複数のタスクを並行処理すること」が得意な方が多いと思われます。(逆に男性は、目標に向けてガーっと突き進むことが得意。)
特許事務所の仕事は、「期限」のある比較的細かいタスクを、バランス良く回していく仕事が比較的多いと思います。また、技術内容、法律知識、期限管理・・・と、あれこれ細か~いことを考慮しながら書類を作成するバランス感覚も求められる気がします。その点、あっちこっちに気を配りながら作業することに慣れている女性の脳は、そんな仕事に向いているな、という印象です。

また、上記に関連して、女性が一般的に得意とする「細やかさ」も、活かせることが多いように思います。例えば、提出書類のチェックでは、細かい実施例や書誌事項の確認により、事前にミスを防げることがあります。この点については、特許事務のベテラン女性の目利きは「本当にすごい!」と感じることが多かったです。期限管理の重要な事務所業務において、ベテラン事務さんの存在は絶大と思います。

加えて、発明者や、企業の担当者との「コミュニケーション」においても、女性が一般に得意とする気づかい、思いやり、は有効に働くシーンが多いと思います。また、明細書や意見書等の作成において、上司(指示者、書類をチェック者)の相性を高めていくことも大切と思いますので、コミュニケーションの大事さを感じます。(個人的には、コミュニケーションについては、まだまだ発展途上ですが・・・。)

というわけで、特許事務所の仕事は、一般的に女性が得意としそうなことを活かすチャンスが多いかな、と思っています。

_______________________________________

以上、思いつつままに徒然と書かせていただきました。
多少なりとも皆様のご参照になれば嬉しいです。

広告