仕事体験談の第2弾です!

今回は、大学院博士課程で、農業経済学の知識と弁理士試験で学んだ法学の知識を活かしている農業知財の研究者による体験談をシェアします。
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私にとっての弁理士資格とは             O.C

私は、現在K大学大学院博士課程であり、社会人でかつ弁理士業務に従事しておられる皆様とは全く違った環境にいます。
また、弁理士の資格を有していますが、当然登録はしていません(お金がかかるので…)。しかし、登録していないからといって資格や試験勉強、さらには講習で得た知識が役立っていないわけではありません!!

〇弁理士試験を受けたきっかけ
大学生になった私は、就職活動でなにかアドバンテージとなる資格を取りたいと考えていました。そんな中、大学1年目の夏に知財関係の集中講義を聴講し、弁理士の仕事に興味を持ちました。また母の友人(複数人)が弁理士として働いていたために弁理士という仕事を身近に感じることができ、その年の秋から早速試験勉強を開始しました。大学1~3回生は必修科目が少なく、勉強時間が十分確保できたこともあり、2年後(大学3回生時)に合格することができました。

〇試験合格後~大学卒業まで
大学では農学部に所属しており、農業経済学を専攻していました。当時、農林水産省でも知財戦略が策定されたこともあり、農業分野の知的財産(以下、農業知財とする)をいかに保護・活用し、産業競争力の向上や地域活性化を目指していくかについての議論が少しずつなされてきていました。
しかし、合格後に受講した弁理士研修では農業知財を取り扱う機会はなく、また農業分野を専門とする弁理士の先生が非常に少ないことに衝撃を受けました。その体験から農業知財は農業現場においてどのように保護・活用されているのか、あるいはできているのかという問題意識を持ち、卒業論文では、都道府県が開発した新品種(果樹)がどのように保護・活用されているかについて研究を行いました。品種開発では進歩性の要件を満たさないため、種苗法での保護が一般的であり、弁理士試験での勉強が役立たないのではと思ったのですが、種苗法の体系は特許法と類似する箇所が多く、特許法を勉強していたおかげで、種苗法の条文をすんなりと理解することができました。
また、弁理士資格が私の人生選択に大きな影響を与えた出来事もありました。大学3年から4年次にかけては、就職するか、あるいは進学するかを決める大事な時期です。私は進学希望でいましたが、どの大学院に進学するか悩んでいました。そんな時、現在所属している大学院の教授が集中講義にいらっしゃいました。講義後、研究の話をする時間があり、農業知財に興味を持っていて、弁理士資格を研究に活かしていきたいと話したところ、農業経済学分野では知的財産権法に詳しい研究者がいないこと、ちょうど当研究室で弁理士との共同研究が開始されたことがあり、研究室を受験するよう勧めてくださいました。弁理士資格を有していなければほかの大学院で全く異なる研究を、さらには博士課程に進学することなく就職していたかもしれません。

〇大学院入学後~修士課程卒業まで
大学院修士課程では、遺伝子組換え種子に付随する特許権が農業者の種子使用に与える影響について研究を行いました。考えられないことかもしれませんが、種子は長年農業生産に必要な投入財であり、かつ農業共同体の共有財として扱われてきたので、とりわけ独占排他権である特許権が付随する遺伝子組み換え種子に対しては、農業者の自由な種子使用を制限し、自家採種や種子保存による利益を奪っていると多くのNGO団体が主張しています。彼らの主張は、実態調査に基づかないものや特許制度の内容に言及していないものが多く、私たちにさまざま誤解を与えているとの問題意識から米国を対象として、種子会社、種子販売業者、当該種子を使用している農業者へのインタビューの実施、関連する特許訴訟の分析を行いました。この研究をすすめる上でも、弁理士試験や研修で得た知識、また資格を有しているからこそ得られる情報ネットワークが非常に役立ちました。また研究費を獲得するうえで、農業経済学だけでなく、法学(知的財産法)の専門知識を有していることは大きなアドバンテージとなりました。農業経済学の知識と法学の知識を組み合わせた、いわば融合研究を行うことで、結果として、両分野ともに新規性が高く、かつ一定の評価が得られる論文を投稿することにつながりました。
加えて、研究以外にも知財に関する知識を生かす場がありました。具体的には、中小企業診断士の先生と共同での都道府県農業戦略の草案作成や6次産業化を目指す農業経営に対し知財に関する勉強会の開催等です。

〇今後
大学院博士課程では、ビジネスモデルを支えるものとして知財マネジメントの重要性が高まりつつある種苗ビジネスを対象とし、効率的かつ効果的な知財マネジメントのフレームワーク提唱につなげることができる研究を予定しています。研究以外では、中小企業診断士やプランナーの方と共同(お手伝い?)で、6次産業化を目指す農業者の方々をサポートする仕事を行う予定でいます(私は知財権に関する知識普及を担当する予定で、あくまで補助として入るので弁理士法には抵触しません)。
弁理士資格は弁理士登録し、弁理士業務を行ってこそ価値があるものだと取得当初は思っていました。しかし、今振り返ると登録していない弁理士資格でも、それがあるがゆえに研究ネットワークが形成され、所属分野でだれもやっていない研究ができていること、将来の仕事の幅を広げるツールとして活躍していることを実感しています。さらに資格がなければIPwomanに所属し、皆様と知り合う機会もなかったので、本当に取得してよかったです!!

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